この記事では、現役のコーヒー屋の店主がコーヒーの抽出器具の比較をします。
同じコーヒー豆で同じお湯の温度でもコーヒーの抽出器具を変えると、味わいが変化します。
器具のそれぞれのメリットとデメリットを紹介していきますので、自分に合ったコーヒーの抽出器具が見つかるきっかけとなりましたら嬉しいです。
コーヒーの抽出の道具の購入を検討している人
美味しいコーヒーを追求したい人
コーヒーの抽出器具に興味がある人
ぜひ様々なコーヒーの抽出器具を試してみてくださいね!
コーヒーの道具
①ネルフィルター
一番古い抽出方法と言われるネルドリップ抽出。起源をたどると、1711 年フランスで開発されたのが布フィルターです。
コットンを素材とし起毛の加工をしたコットン・フランネルのことで、衣服のネルシャツと同じ素材です。
柔らかくて軽い織り布であり、ネルドリップ用と衣服用ではその厚さが異なります。実際メーカーによってもかなり布の厚みや持ち手に特徴がありネルフィルター一つでも様々な種類があるので、いくつか試してみるのがおすすめです。
ネルドリップは、フィルターにネルを使用している点が最大の特長です。ペーパードリップのように使い捨てではなく、何度も洗って使用します。
抽出速度に変化が出てきたら取り替える合図です。フィルターも裏表あり、どちらを使っても良いので奥が深いです。
ネルドリップ初めての方向けのおすすめ道具 (HARIO)
手で持った状態ではなく、フィルターを置いた状態で手のブレがなく安定して抽出できるので初めての方におすすめです。
メリットとデメリット
ネルは紙のフィルターよりも目が粗いので、コーヒーオイルが多く抽出されやすく、まろやかで柔らかく甘い口当たりを感じる。
コーヒー屋さんだとネルドリップの抽出方法はかなり少ないので、希少性が高い
ネルフィルターの管理が大変
抽出に時間を必要とし、お店でネルドリップ抽出方法だと非効率。淹れる人の技術によっても味が変わるので、一定の味になりにくい。(唯一無二のものが作れるので、良さでもある)
当店はネルドリップでコーヒーを抽出しています!
②サイフォン式
純喫茶でよく見かけることが多いサイフォン。
実験道具のような見た目の美しさや音とビジュアルから視覚的にとても楽しめる道具です。
サイフォン式は1830年代にドイツで誕生したと言われています。
サイフォンは、扱いには注意が必要です!
コーヒーを抽出するためのサイフォンは下部から「アルコールランプ→フラスコ→フィルター→ロート」で構成されています。
フラスコの中にはボールチェーンが通っています。サイフォンの法則と呼ばれる仕組みを使い、コーヒーを抽出します。
サイフォン抽出の仕組み
1. フラスコ内に水、ロートにはコーヒーの粉を入れる
2.フラスコをアルコールランプで温め、内部の気圧が上がりお湯がロートへ吸い上げ、コーヒーの粉と混ざり合う
3.抽出完了後は加熱を止めるとフラスコ内の気圧が下がり、抽出されたコーヒーの液体のみがフィルターを通したあとに下のフラスコに戻る
メリットとデメリット
コーヒーの味わいは、やわらかで風味豊かな味わいを楽しむことができます。
香りが立ちやすく、誰でも安定した味わいのコーヒーを淹れられます。
デザイン性(見た目が素敵)があるので、見ていて楽しい点です。アルコールランプだけでもずっと見てられるくらいです。
ガラスの破損の恐れがあり、危険を伴う
ネルドリップと同じく、管理が大変であり、抽出に時間がかかるため急ぎには不向きになります。
③ペーパーフィルター
1908年頃から今では一番多い抽出方法のペーパードリップ。一度は使ったことがある方も多いのではないでしょうか。
紙の素材やドリッパーの材質によって風味や香りが異なるので、魅力的です。
※ドリッパーとはコーヒーの粉にお湯を注ぎ、フィルターで濾過することによりコーヒー液を抽出する器具のことです。
おすすめのドリッパー
ORIGAMI オリガミドリッパー
見た目が可愛らしいだけでなく、2018年の「Japan Brewers Cup(ジャパンブリューワーズカップ)」の優勝者が『ORIGAMI』のコーヒードリッパーを使っていたことで一躍有名になったドリッパー。
さらに2019年には、「World Brewers Cup(ワールドブリューワーズカップ)」のチャンピオンも使用していたため、『ORIGAMI』の実力が世界的に認められ、非常に人気です。
ペーパフィルターでの抽出は、一番多い抽出方法かも!
フィルターにセットするペーパー
↑ORIGAMI ドリッパーは上記のペーパーがおすすめです。
メリットとデメリット
1回抽出するとそのまま捨てることができるので(使い捨て)、ネルドリップに比べると片付けなどの負担が少ない。
ハンドドリップ初心者でも簡単にチャレンジしやすい器具
抽出時間や湯量、温度で安定したすっきりとした味わいになる
ペーパーフィルターの場合はランニングコストがかかる。※セラミックの場合は当てはまらない
ペーパーのため、香りと風味をもつコーヒーオイルが吸収される
使うペーパーによっては紙の匂いがついてしまうため、コーヒーの風味が飛びやすい
王道のおすすめメーカー 【カリタ karita】
王道のおすすめメーカー 【コーノ kono】
様々な形のペーパードリッパーがあるので、ぜひ色んなメーカーや形でお試しくださいね!
④フレンチプレス
フレンチプレスとは、コーヒーを淹れるためにフランスで開発された浸漬法という仕組みを使ったコーヒー器具。
「コーヒープレス」「カフェプレス」「プランジャーポット」など呼ばれることがあります。形状はティーポットのような形が特徴です。
淹れ方は、ガラスポットにコーヒー粉をセットしてお湯を注いで数分間コーヒー成分を抽出するのでとても簡単。
サイズも多様で自分のための一杯やみんなのための分など、様々なシチュエーションに対応できる便利な抽出器具です。
メリットとデメリット
コーヒー豆本来の味を楽しめる
比較的安価で購入できるため、お手軽に楽しめる
特別なテクニック要らずで、(抽出時間や量、湯量を守る)初心者でも簡単に挑戦することができる
金属フィルターの場合、カップの中にコーヒー粉が少量入ってしまうことがある。
舌触りが独特になるため、最後まで美味しく飲みたい人にとっては不向き
抽出後の器具の洗い物が少し面倒
⑤エアロプレス
空気圧によってコーヒーを抽出するのがエアロプレス。注射器のようなデザインが特徴。
恐らく初めて見る人はエアロプレスがコーヒーの器具だと思わないと思います。最近はコーヒー屋さんでもよく見かける器具です。
両手で上から押して、コーヒーを抽出します。
メリットとデメリット
一定の味が出せるので、お店向き
浅煎り〜中煎り向き
コンパクトなビジュアルとコーヒーを淹れる振る舞いでパフォーマンスとしても楽しめる。
軽いため、アウトドアへの持ち運びも可能
器具を洗うのが大変
専用のペーパーが必要のため、ペーパードリップ同様に買い揃える必要性がある。
空気圧を使ってコーヒーを抽出するため、ある程度の力が必要。
⑥クレバードリッパー
クレバードリッパーは、初耳の人も多いかと思います。
クレバードリッパーは、見た目は普通のドリッパーに見えるかもしれませんが、実はちょっとした仕掛けのある面白いドリッパーです。
器具は、独特の構造です。「底」の部分に秘密があります。
仕組み
底部に小さな穴がいくつか開いており、上からお湯を注ぐとその穴からコーヒー液が流れ落ちる仕組み。
底部にシリコンラバー製の「弁」が付いています。
「弁」は、テーブルの上など平らな場所に置くだけでは閉じたままの状態となっているため、コーヒーをセットしてお湯を注いでも底穴からコーヒー液が漏れることはありません。
内部でコーヒー粉がお湯に浸り、十分に抽出ができたタイミングで、カップやサーバーの上へ”ストン”と置きます。
その後底部の「弁」が開き、コーヒードリッパー内部に溜まっていたコーヒー液が一気に落ちていきます。
台湾で生まれた抽出法で日本でも少しずつ浸透している抽出方法なので、ぜひお試しくださいね。
まとめ
とても古い抽出方法から現在の抽出方法と器具まで沢山あります。簡単にですが、6つの抽出器具について紹介しました。
時と場合によって使い分けるのもコーヒーを楽しめると思いますので、ぜひいろんな道具に触れて実際に試してみてください。
当店のコーヒー豆や商品はオンラインでも販売しています。よかったらご覧くださいませ。